栃木市の人形山車は、長い歴史と伝統を持つ祭りの一部として、地域の誇りを表しています。それぞれの人形山車は、精巧な彫刻や色鮮やかな装飾が施され、古くからの物語や伝説、そして人物像を現代に伝えています。このページでは、各人形の特徴やストーリーを詳しくご紹介します。栃木市の文化遺産として、これらの人形山車が持つ独自の魅力を、ぜひ感じ取ってください。
大町(だいちょう)
弁慶(べんけい)は平安時代末期に活躍した僧兵で、源義経に仕えたことで有名です。力強く勇猛な武士として知られ、武芸に優れ、義経の忠実な従者となりました。忠義と勇気の象徴として語り継がれています。
制作年:明治期
人形の作者:作者不明
山車等の特徴
【前柱】上り下りの竜の彫刻
【裏格子】豊作の印、葡萄の木鼠の彫刻
【正面】紅蘭唐獅子牡丹の透かし彫
【傍】波に亀の掘
【前垂】梅に鷲の彫
嘉右衛門町(かうえもんちょう)
仁徳天皇(にんとくてんのう)は日本の第16代天皇で、5世紀に在位したとされる伝説的な天皇です。特に民を思いやる姿勢で知られ、困窮した民のために重税を免除し、農業と生活の復興を優先した「民のかまど」の逸話が有名です。彼の墓とされ、世界最大級の古墳としても知られています。
制作年:昭和期
人形の作者:安生
山車等の特徴
【山車】漆塗り上げ
【上段幕】嘉の文字の意匠化刺繍
泉町(いずみちょう)
諫鼓鶏(かんこどり)は、中国の伝説に由来する故事で、君主への諫言(忠告)を象徴しています。昔、宮殿の前に「諫鼓」という鼓が置かれ、民が君主に不満や諫言があるときは、その鼓を打って訴えることができました。しかし、長い間誰もその鼓を打たなかったため、鼓に鶏が巣を作るほど平和であった、という故事です。このことから、平和な時代や、諫言を必要としない良い統治を表す象徴として用いられます。
制作年:明治7年(1874)以前
人形の作者:作者不明
山車等の特徴
天下泰平の象徴。良い政治が行われ、訴えを聞く太鼓をたたくものが無く、鶏が太鼓に巣を作ったという故事。
万町三丁目(よろずちょうさんちょうめ)
素戔嗚尊(すさのおのみこと)は天照大神の弟。海や風、嵐を司り、勇猛で激しい性格の神です。高天原から追放された後、出雲国で八岐大蛇を退治し、櫛名田姫を救った英雄的な逸話が有名です。農業や自然に関連する神としても信仰されるようになり、出雲大社などで祀られています。
制作年:明治26年(1893)
人形の作者:人形師 法橋 原舟月
山車等の特徴
【上段幕】羅紗 四神刺繍
【見送幕】綿襴 七宝枠に亀 牡丹 菊織込
万町三丁目(よろずちょうさんちょうめ)
張飛翼徳(ちょうひよくとく)は豪胆で勇猛な武将として知られ、屈強な体と武勇で多くの戦場で活躍しましたが、短気で気性が荒い一面もありました。特に長坂坡の戦いで、わずか一騎で敵軍を退けた逸話が有名です。
制作年:明治11年(1878)
人形の作者:人形師 法橋 原舟月
山車等の特徴
【上段幕】羅紗 四神刺繍
【見送幕】綿襴 七宝枠に亀 牡丹 菊織込
万町二丁目(よろずちょうにちょうめ)
日本武尊(やまとたけるのみこと)は第12代景行天皇の皇太子です。幼少から勇敢で、数々の武勇伝が残されています。特に東国の平定や熊襲討伐の功績で知られています。敵地で火攻めに遭った際、草薙剣を使って危機を脱した「草薙剣伝説」が有名です。
制作年:明治26年(1893)
人形の作者:人形師 法橋 原舟月
山車等の特徴
【上段幕】緋羅紗地 綿入刺繍
【見送幕】綿襴 竜小丸 鳳凰小丸袖紋
万町二丁目(よろずちょうにちょうめ)
関羽雲長(かんううんちょう)は優れた武勇と忠義を持ち、武神として崇められています。青龍偃月刀を武器にし、赤兎馬に乗って数々の戦場で活躍しました。死後、関帝として祭られ、商業や忠義の象徴として広く信仰を集めています。
制作年:明治11年(1878)
人形の作者:人形師 法橋 原舟月
山車等の特徴
【上段幕】緋羅紗地 綿入刺繍
【見送幕】綿襴 竜小丸 鳳凰小丸袖紋
万町一丁目(よろずちょういっちょうめ)
天照大神(あまてらすおおみかみ)は日本神話に登場する太陽の女神で、最高神の一つとして知られています。高天原(天上の世界)を統治し、光と生命を司ります。天皇家の祖先とされ、伊勢神宮で主祭神として祀られています。
制作年:明治26年頃(1893)
人形の作者:人形師 法橋 原舟月
山車等の特徴
【上段幕】緋羅紗地 飛竜 綿入刺繍四面一枚続き
【見送幕】綿襴 牡丹唐草宝尽し三色継
万町一丁目(よろずちょういっちょうめ)
劉備玄徳(りゅうびげんとく)は中国の三国時代に活躍した蜀の建国者で、仁義と人望で知られています。漢王室の末裔で、関羽や張飛と義兄弟の契りを結び、諸葛亮(孔明)の助けを得て蜀を建国しました。民衆や部下からの信頼が厚く、正義感と誠実さで評価される人物です。
制作年:明治11年(1878)
人形の作者:人形師 法橋 原舟月
山車等の特徴
【上段幕】緋羅紗地 飛竜 綿入刺繍四面一枚続き
【見送幕】綿襴 牡丹唐草宝尽し三色継
倭町三丁目(やまとちょうさんちょうめ)
静御前(しずかごぜん)は鎌倉幕府を開いた源頼朝の弟、源義経の奥さん。京都で歌いながら踊る白拍子という芸能の名人。義経を最後まで愛し、忠義を貫いた彼女の姿は、多くの物語や芸能で描かれています。
制作年:嘉永元年(1848)
人形の作者:松雲斎徳山
山車等の特徴
【上段幕】綿襴に巴紋の刺繍
【見送幕】金糸で若松の刺繍
倭町二丁目(やまとちょういっちょうめ)
神武天皇(じんむてんのう)は奈良県一帯を支配していた指導者を滅ぼして、日本国を建国したと言われる伝説上の人物。紀元前660年2月11日に初代天皇として即位したと伝えられています。彼の即位は「建国」の象徴とされ、「建国記念日の日」として祝日になっている。
制作年:明治26年頃(1893)
人形の作者:人形師 法橋 原舟月に依頼し制作は古居楽山
山車等の特徴
【上段幕】四面緋羅紗地 金色竜丸に雲刺繍
【見送幕】木綿地に赤白緑の緞子
倭町一町目(やまとちょういっちょうめ)
獅子頭一対(ししがしらいっつい)は昔から魔除けの成獣とされた獅子をモデルとした獅子頭が多く作られた。神社の祭りや芸能に用いられてきた。倭町一丁目のモノは、明治7年ごろに買ったもので明治の中頃には山車にのせていた。雄獅子と雌獅子がいる。
制作年:明治6年(1873)以前
人形の作者:作者不明
山車等の特徴
金箔に生漆喰仕上げ。厄除け・和合防火の獅子。
室町(むろまち)
桃太郎(ももたろう)は日本の有名な民話の主人公です。桃から生まれた男の子がおじいさん、おばあさんに育てられ、犬、猿、キジの仲間を連れて、村を荒らす鬼たちを退治するため鬼ヶ島へ鬼退治に行く物語。桃太郎の物語は、勇気、友情、そして正義の象徴として広く知られています。
制作年:明治28年頃(1895)
人形の作者:大沢銀之丞
山車等の特徴
【人形座】勾欄、中段、腰、囃子座は意匠を統一
【欄間】長押を二重廻彫刻